東大とハーバードの大きな差 日米のトップ大学はどこが違うのか?

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グローバル化による影響を受けるのは、ビジネス界だけではありません。教育の世界にも、グローバル化の波が押し寄せています。今、世界と日本の教育はどう変わろうとしているのでしょうか。ビジネスパーソンや学生、そして、子どもをもつ親たちは、何を知っておくべきなのでしょうか?
この連載コラムでは、ベネッセコーポレーションでソーシャルイントラプレナー(社内起業家)として活躍し、米国トップ大学進学塾「ルートH」 を担当する藤井雅徳さんに、東大とハーバードに代表される、日米大学の教育の違いをわかりやすく説明してもらいます。日本の教育の問題と可能性を示すことによって、日本の新しい「教育のかたち」を考えていきます。
今年度からスタートした、東京大学の外国人留学生向け秋入学コース。入学式には、世界から多様な国籍の学生が集まった(撮影:今井康一)

東大が外国人留学生向けの秋入学コース「PEAK」を今年度、スタートさせた。また、5年後をメドに、秋入学への全面移行を検討するという。

その背景にあるのは、東大のグローバル化の遅れである。4学年合わせた学部生、約1万4000名のうち、在学中に海外留学する学生はどのぐらいいると思われるだろうか?

2011年(平成23年)のデータは、わずか53名。全学生の0.3%という驚くべき少なさだ。

東大だから極めて低いという事情もある。東大には、進学振り分け制度(以下、進振り)というものがあり、2年次までの成績を基に、3年次からの進学先、つまり専攻が決まる。そのため、東大に入学しても、すぐにまた猛勉強しなければならないのだ。

それなら3年次に留学しようと思っても、今度は就職活動が始まってしまう。あるいは資格試験の勉強を始める生徒も多い。というわけで、留学に行こうにも行けないのが東大生なのだ。

一方、海外から東大にやってくる外国人留学生の数はというと、学部生約1万4000名のうち、わずか199人(平成22年)。全学生の1.4%である。

留学生は3%しかいない

では、日本全体ではどうだろうか?

経済産業省の調査によると、日本の大学に在籍している外国人留学生の比率は3.5%。世界の主要先進国と比べて極めて低い。現役の大学生だけではない。日本に居住する大卒者のうち、外国人が占める比率も0.7%と、一層低い。つまり、優秀な外国人が日本に来ていないのだ。

IMD(国際経営開発研究所)の調査によると、日本はグローバル人材の育成でも後れを取っている。企業のマネジメント層の国際経験は59カ国中、54位、企業ニーズに合致した語学力は同58位という状況である。

こうした実態に国や大学が危機感を持ち、日本の大学のグローバル化を促進すべく、秋入学構想を打ち出している。生徒や保護者、教員もこの実態を踏まえたうえで、日本の大学に進学するか、海外の大学に進学するかを検討する必要があるだろう。

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