佐藤優(下)「歴史と国際政治の教養を磨け」 あなたの会社の混乱と、国際政治は関連している

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日本の新しいモデルを創る「新世代リーダー」とはどんな人なのか。どんな能力、教養、マイ ンドセット、行動が必要となるのか。国内外のリーダーを知り尽くした、各界の識者たちに「新世代リーダーの条件」を聞く。
第1回目は、『週刊東洋経済』で 「知の技法 出世の作法」を連載している作家の佐藤優さんが、組織でトップを目指す人間に求められることは何かを語る。
インタビューの(上)はこちら

トップを目指す人にとって、読書は絶対に欠かせない。読書が代理経験になるからだ。組織のピラミッドを上がっていく人たちの体験には、何か共通するものがある。

だから、成功者の伝記を読むのはすごく意味がある。ただし、むやみやたらに読んでも意味はない。読むなら、日本人の伝記よりも、海外の伝記のほうがいい。

おそらく日本的なノウハウというのは、すでにみんな持っている。それよりも、カーネギー、ロックフェラー3世、李明博といった海外の人物の自伝のほうがお勧めだ。そちらのほうが、グローバルな時代に生き残るためのヒントを多く得られるだろう。

今、どこの企業も混乱しており、30、40代の人は、どうすれば自分の仕事が評価されるかわからなくなっていると思う。実はこの混乱は、政治の混乱とものすごく関係している。

日本の内政が極度に混乱するのは、国際情勢がすごく混乱しているからだ。つまり、これは構造的な問題といえる。

世界が混乱すると、日本も混乱する

たとえば、14世紀の南北朝時代に動乱が起きたのは、明という新たな世界帝国が誕生してアジアを支配したことと関係している。明という巨大国家とどう付き合うかが、日本、朝鮮、ベトナムなどの周辺国にとって、深刻な問題となった。

そうした中で、日本は2つに分かれた。一つは、グローバルな潮流に従おうとする北朝の流れ。もう一つは、グローバル化に逆らおうとする南朝の流れ。今でいうと、「TPP亡国論」を唱えているような人たちだ。しかし、南朝のような考えはアナクロニズムで通らず、結局、グローバリズムを一部取り入れることになった。

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