日本の経営者の好きな本は司馬遼太郎、外国の経営者はホッブスやルソー。これでは勝てません--出口治明・ライフネット生命保険社長(第4回)

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日本の経営者の好きな本は司馬遼太郎、外国の経営者はホッブスやルソー。これでは勝てません--出口治明・ライフネット生命保険社長(第4回)

--採用はどのように行っているのでしょうか。

社員の半数は業界外出身です。青田買いは日本を弱体化させるガンの一つだと思っているので、新卒の定義は30歳未満としています。自分の頭で考える人が欲しいため、社員でも解けないような難しいテーマで字数無制限の論文を書いてもらいます。

内勤だけで何万人もいる大手生保とたった70人で競争していくわけですから、同じことをやっても勝負になりません。人と違う考え方をする人材が必要なんです。

--入社後のキャリアパスや教育に関して取り組まれていることがあればお聞かせ下さい。

キャリアパスは無意味だと思います。キャリアパスとは「世界がある程度読めるからこんな経験をし、こんな風にしていきたい」という考え方です。この考え方自体は人間の精神にとても気持ちがいいものなのですが、歴史を振り返ると成功者のほとんどの勝因は“偶然”なんですよ。

どんな世の中になるかなんてわからない。例えば電力会社で原子力を世界に売っていきたいと一生懸命勉強してきた人がいたとしても、今回のような震災が起きればしばらく動けなくなります。

一番大事なのは「健康」。そして「インプット」ですね。

日本人は量質ともに圧倒的にインプットが足りません。例えば、僕も国際業務の仕事を6年やりましたが、名刺交換した外国のエグゼクティブのほとんどはドクターやマスターです。好きな本は何かと聞けば、日本の経営者は「司馬遼太郎」なんて言いますが、外国の経営者は「ホッブズ」や「ルソー」と答えます。これでは勝てるはずありませんよね。

現在製造業に競争力がないのは、経営者に能力がある人が少ないからです。そもそも大学で満足に勉強もせず青田買いで会社に入るからコンテンツがないんです。

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