日本の経営者の好きな本は司馬遼太郎、外国の経営者はホッブスやルソー。これでは勝てません--出口治明・ライフネット生命保険社長(第4回)

✎ 1〜 ✎ 57 ✎ 58 ✎ 59 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 海外の学生は優秀ですよ。昨年インターンで来てもらった北京大学の20歳の学生がいい例です。中国では大学でトップ10に入る成績を修め、クラスの信任投票で6割の票を勝ち取らないと共産党員になれませんが、彼はその難関を突破した共産党員です。

さらに彼はTOEFL107点のスコアを持っていました。第二外国語の日本語は、ひたすら日本文学を読み込んで勉強したそうです。当初は村上春樹が大好きだったのに、だんだん夏目漱石や森鴎外に夢中になったと言います。彼は、夏目漱石や森鴎外を読み、「今の中国と明治の日本は同じだ」と理解したらしいんですね。そして、1人で夏目漱石の生家をたずねてお墓参りをしたそうです。

これが“中国の20歳の共産党員”の姿なんですよ。日本のメディアは「中国は共産党のイデオロギーだ」と批判しますが、見る目が曇ってますよね。

彼のような優秀な人間と競争して勝っていかなければ、この国の未来はありません。中国に留学している日本人学生の中で、果たして何人が魯迅を読みこんでいるでしょうか。

以前、日本でも非常に優秀だなと思う学生に出会ったことがありました。あまりに優秀なので「どうやって勉強したの?」と聞くと、彼は「在学中に岩波文庫を500冊読もうと目標を立てました。実際は630冊読みました」と答えたのです。やはりキャリアパス以前にインプットが重要だと思います。

--量質ともにインプットを高めるコツは何でしょう。

一生分の勉強量や経験などたかが知れているので、本を読んで先人がどのように生きてどのように死んでいったかを学べばいいんです。人間は自分も含めアホな動物です。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事