東大とハーバードの大きな差 日米のトップ大学はどこが違うのか?

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この夏、私が海外トップ大の生徒のパワーに圧倒された出来事があった。8月4日から9日まで、ベネッセコーポレーションが後援しハーバードとイェールの学生15名と、日本の高校生30名を交えて、香川県直島にある「ベネッセアートサイト直島」でサマーキャンプを開催した。

これは米国トップ校進学塾「ルートH」の卒業生で、灘高校からハーバードとイェールの両方に合格し、イェールに進学した古賀健太くんが、「なぜ学ぶのか?」をテーマに企画した体験・参加型のキャンプである。

古賀くんがリーダーとして開いたサマーキャンプ。テーマは「Question Learning=なぜ学ぶのか?」。詳細はこちら

古賀くんについて少し補足しておこう。彼は理数系の分野ではある意味、振り切れた能力を持つ。灘高2年の時にすでに東大の医科学研究所でインターンをしていて、東大理三(医学部)の合格が確実視されていた。アート的な領域にも関心があり、プロのマジシャンでもある。現在、イェールが資金を出して古賀くんの起業に協力し、イェール内にオフィスを構えている。

こういう生徒がもし東大に進学したら、おそらく埋もれてしまうか、はみ出してしまうだろう。しかし、海外の大学では、リベラルアーツ教育によってサイエンスもアートの領域も一緒に学べるので、古賀くんのような生徒ものびのびと自分の能力を発揮できる。

即効性、ノリ、タフさ

その古賀くんがサマーキャンプへの参加を呼びかけると、ハーバードやイェールの実に多彩なバックグラウンドを持つ生徒が集まった。コンピュータサイエンスを専攻するベンチャーの起業家、プロカメラマン、女優。さらには、ホワイトハウスや全米トップレベルの病院でのインターン、そして、IT企業で1ヵ月100万円のインターンを断ってきた学生たち……。

彼らはキャンプのためにおそろいのTシャツを着ていた。生地から作り、「和」をイメージしたデザインのものだ。キャンプの間中、プロのカメラマンが写真を何百枚も撮影していた。それが素人目から見てもうまい。そして、「芸術とは?」「表現することとは?」「デザインすることとは?」といったテーマで夜通し語り合ったり、ビジネスコンテストを楽しそうにやり続ける。

一声かければ多彩な仲間がわっと集まる即効性。何でも自分たちでつくり出してしまうノリ。寝ずに楽しく活動するタフさ。これがダイバーシティ、リベラルアーツの真価なのだと私はつくづく実感させられた。

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