アートとサイエンスの違い
日本と欧米との学問体系の違い。もっと平たく言うと、科目の違いに私が気がついたのは、娘がインターに通う中で、「おや、なにか変だ」と思うことが多かったからだ。
たとえば、リベラルアーツのアーツは「arts」である。単数だとアート「art」だ。日本でアートと言うと、私たちはすぐに「芸術」を思い浮かべる。そして、学校の科目としては「美術」や「音楽」を思い浮かべる。
ところが、「歴史」も「地理」も「文学」もみんなアートなのである。
アメリカの大学や大学院を卒業して授与される学位(degree)には2種類ある。「A」がつくものと「S」がつくものだ。「A」はアート(art)の略で、「S」はサイエンス(science)の略である。
たとえば、大学を卒業すると「学士」(Bachelor:バチェラー)がもらえるから、学位はメジャーにした科目により「BA」(Bachelor of art)か「BS」(Bachelor of science)のどちらかになる。
そこで、たとえば歴史を専攻したとしよう。この場合、大学卒業時にもらえる学位は「BA」である。では、心理学を専攻したとして、もらえる学位は何だろうか?「BS」である。歴史を専攻すると美術や音楽などと同じアートの学位がもらえるが、心理学を専攻するとサイエンスの学位になってしまうのだ。
日本の感覚からいくと、心理学は文系だから、アートのほうではないと変だ。しかも、サイエンスといえば、日本の感覚からすると「理科」とか「科学」である。とすると、なんで心理学が理科と同じなのだろうか?
私も最初は、このことを理解できなかった。しかし、ここでこんがらがってしまうと、欧米の学問体系は理解できない。私がこんがらがりながらも、「そうか」と思い当たったのは、アートもサイエンスも、その言葉から私たち日本人が思い浮かべることと、アメリカ人が思い浮かべることは違うではないかと気がついたからだ。
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