連載第2回目で、勉強しない大学生を生み出す構造的なメカニズムについて解説しました。要は、大学生・大学の先生・企業の採用担当者の3者が、自分の利益を最大化するように行動した結果、「勉強しない大学生」を生み出す負のスパイラルが回ってしまい、大学生が勉強しなくなっているのです。
誰も悪くないからといって、全体で見ればこの構造は大問題です。経済は容赦なくグローバル化していますし、アジア圏を中心とした新興国で大学進学率が高まり、日本の大学生のライバルは増える一方です。そして彼らは、大学において必死で勉強し、知的能力を鍛えているのです。
ではどうすればいいのでしょうか? 本連載の最終回では、この問題に答えていきたいと思います。
「考える力」を育成・評価しているのはどの大学か?
私が代表を務めるNPO法人DSSでは、首都圏主要9大学28学部の大学4年生2000人に、ある聞き取り調査を実施しました(調査の詳細は最終ページを参照)。
この調査では、大学4年生に成績表を持参してもらい、自分が受けた授業の中から「考える力を育成している授業」「考える力を評価している授業」を挙げてもらいました。どの授業が「考える力」を育成・評価しているのか、またそのような授業はどの大学・学部に多いのかを明らかにするためです。
なぜ「考える力」を重視するのでしょうか? それは、「考える力」こそが、まさに企業が大学生に求めている力だからです。
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