これまで日本の大学教育をさんざんやり玉に挙げてきましたが、実は、大学の先生の中には、きちんと授業に力を入れ、評価を適正に行っている方も多くいらっしゃいます。ですので、そういった授業の成績は、本来企業の採用の参考にできるはずなのです。
問題は、どの先生がきちんと授業や評価をしているのか、企業側には情報がないことです。先生の研究業績は調べればわかりますが、授業への熱意を知る方法はありません。大学の授業はまさに玉石混淆。「悪貨は良貨を駆逐する」理屈で、企業はすべての成績を信頼できなくなっているのです。
だったら、どの授業が採用の参考にできるのか調べて、企業に情報提供すればいい。そう考え、冒頭の調査を実施したのです。
学生を採用するときにどこに着目すべきか
もちろんこの調査は、対象大学・学部も少なく、対象人数も十分とは言えない、不完全なものです。さまざまな制約から、9大学28学部、2000人を対象といたしました。
ですが、大切なのはこういった調査をきっかけに、企業の人事部の皆さんに大学の授業や、そこでの成績に興味を持ってもらうことです。たとえば、「早慶を普通に卒業した学生よりも、立教経営学部を優秀な成績で卒業した学生のほうが、知的能力が高いかもしれない」と思ってもらうことで、大学の授業内容や成績にも目を向けてほしいのです。
そのうえで採用選考時に、考える力を育成・評価している授業の評価を参考にし始めることが、変化のスタートになります。こうして、正のスパイラルが回り始めるのです。
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