先ほどお話しした「ビジネスリーダーシッププログラム」では、普段の授業の活動経過を評価しています。ディスカッションでの発言内容、チームへのかかわり方、プロジェクトの進行過程も評価の対象となります。これはまさに、アメリカの大学流の評価方法と言えるでしょう。
一方、やはり早慶は平均点を超えているのが早稲田の商学部だけと、残念な結果になっています。
調査の目的は、「正のスパイラル」を回すこと
このような調査をした真の目的は、調査結果を公表することで、連載第2回目に紹介した「負のスパイラル」が反転し、「正のスパイラル」になる一助とすることです。
どういうことかご説明するために、まずは、正のスパイラルが回っている社会では何が起きているのか、見てみましょう。
正のスパイラルが回っている社会では、学生はバイトやサークルだけでなく、授業にも力を入れざるをえなくなります。なぜなら、企業が採用の際に、大学の成績を参考にするようになるからです。そうなると、海外の大学生のように、日本の大学生も大学の勉強に時間をかけるようになりますし、真剣度も増します。
学生が授業にまじめに取り組み出すと、内容や評価がいいかげんな先生の授業は取らなくなります。さらに学生は、どうせ授業に力を入れなくはならないのなら、より質の高い教育を求めるようになります。何を教えてもらえるのか、どのような時間を過ごさせてくれるのか、授業を見る目が厳しくなります。
そうなると、先生も授業の質を高めざるをえなくなります。また、質を高めても学生はそれについてきます。学生と先生が、互いに高い要望を持てるようになってくるわけです。
さて、授業と評価の質が高くなると、企業は大学の成績を信頼できるようになります。採用選考の基準として、たとえば学生の事前選考に利用できるようになるわけです。
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