筋骨隆々とした、キリスト像
「彼の目標は、イタリアの画家たちのように、裸体を中心とした、堂々たる体躯の人体像を描くことでした。アルプスの北からイタリアに来る画家の多くは、風景画家、静物画家として評価を得ていました。
それに対してルーベンスは、ラファエロやミケランジェロのように人物画家として成功しようと格闘したのです」と、展覧会を監修した京都大学大学院文学研究科の中村俊春教授は語る。若いときにイタリアで学んだ技術や様式は、生涯にわたって彼の原点となった。

ペーテル・パウル・ルーベンス『復活のキリスト』 1616年頃、油彩・カンヴァス、183×155cm フィレンツェ、パラティーナ美術館 ©Gabinetto fotografico della S.S.P.S.A.E e per il Polo Museale della città di Firenze
たくましいキリスト像。横から見て描いたほうが簡単な脚を、あえて正面から描いている
『復活のキリスト』は、人物画家を目指したルーベンスらしい作品だ。復活した瞬間のキリストは筋骨隆々として、力がみなぎっている。「等身大の人物像を、技巧を誇示するかのように複雑なポーズで描いています」と中村教授はいう。
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