なるほど、そう言われて見ると『聖母子と聖エリサベツ、幼い洗礼者ヨハネ』には、『眠る二人の子供たち』の左側の子供の頭部が、左右を逆にして、目を開けられて使われている。弟子たちがルーベンス風の顔に描いた作品だ。
左側は聖母マリアとキリスト、もう一人の子供は洗礼者ヨハネ、右側はその母でマリアの従姉妹のエリサベツだ。この構図は人気を集め、工房で複製が何枚も制作された。
展覧会では日本初公開の作品を含む油彩画のほか、工房での制作の仕組みも知ることができる。
工房の画家の中には、後に有名になったヴァン・ダイクもいた。画家たちの独立後の作品も紹介されている。また、人物をルーベンスが担当し、動物は動物画家、風景は風景画家が描くなど、一枚の絵を何人かで共同制作した作品もある。
「意欲的で向学心にあふれ、しかも謙虚。成功しておカネもたくさん儲けた」というルーベンス。彼の作品を通して、その時代も見えてくる展覧会だ。
「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」
3月9日~4月21日
Bunkamura ザ・ミュージアム
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
10:00~19:00(金・土曜は21:00まで、入館は閉館の30分前まで)
会期中無休
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
一般1500円
北九州市立美術館(4月28日~6月16日)、新潟県立近代美術館(6月29日~8月11日)に巡回
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