やわらかな頬、筋骨隆々の肉体 「フランダースの犬」の少年ネロが、憧れた才能

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少年ネロと愛犬パトラッシュの物語、「フランダースの犬」では、画家を志すネロが教会の絵をひと目見たいと憧れる。最期に願いがかない、魂を救ったのがルーベンス(1577~1640年)の作品だった。

ペーテル・パウル・ルーベンス(工房)『自画像』1622-1628年頃(?)、油彩・板、85×61cm フィレンツェ、ウフィツィ美術館 ©Gabinetto fotografico della S.S.P.S.A.E e per il Polo Museale della città di Firenze
ルーベンスの自画像を工房の画家が模写した作品。自筆のものはイギリス皇太子チャールズのために描かれ、現在もイギリス王室が所蔵している

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムでは、4月21日まで「ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」展が開かれている。

ルーベンスは1598年にアントワープ(現在のベルギー第2の都市)で親方画家として認められ、当時の芸術の中心地イタリアで学んだ。帰国してから大規模な工房の経営に乗り出して成功を収め、国の和平交渉にも尽力する。

つまり、絵の才能に恵まれ、深い教養があり、経営者としても優秀で、おカネもあって家族思い。おまけにこの自画像のような端正な顔立ちである。完璧な画家の唯一の弱点は、痛風に苦しんでいたことくらいだろうか。

さて、そんなルーベンスの作品を見てみよう。彼の絵に大きな影響を与えたのが、1600年から8年間にわたるイタリア滞在だった。宮廷画家として仕えながら、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなど先人の絵や古代彫刻を見て、イタリアの様式を学んだ。

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