やわらかな肉体
『ロムルスとレムスの発見』にはローマ建国の伝説が描かれている。オオカミとキツツキに育てられたロムルスとレムスの双子の兄弟が、右奥から登場する羊飼いに発見される場面だ。狼と双子の部分は古代彫刻がモチーフになっている。石の彫刻から、やわらかな人間の肉体を描き出した。
外交関係の仕事もしていたルーベンスは、1629年にイギリスに渡った。イギリス王室が所蔵するイタリア絵画を目にして、再び学習意欲が湧いてきた。ティツィアーノの作品を模写したのが『毛皮をまとった婦人像』だ。
50歳を過ぎて、すでに国際的な名声を得ていたにもかかわらず、謙虚に学ぼうとした。この絵は新たな画業のスタートを切るきっかけになったという。毛皮をまとう裸婦という官能的な組み合わせは、後の作品にも使われている。
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