日本で最も多くのサラリーマンが訪れる美術館。それは東京・京橋のブリヂストン美術館ではないだろうか。
東京駅から徒歩5分、ブリヂストン本社ビルの一角という便利な場所にあり、仕事の息抜きに来る人もいれば、新幹線での出張のついでに立ち寄る人もいる。
この日もスーツ姿の男性が、ルノワールの《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》の前にじっと座っていた。おしゃまなシャルパンティエ嬢に会いにきたのだろうか。忙しい日々の中の日だまりのような時間なのかもしれない。
ブリヂストン美術館の魅力は、いつ行っても質の高い作品に出会えること。入り口でロダンの《考える人》に迎えられ、展示室に入るとセザンヌ、ピカソなど、誰もが名前を知っている画家たちの絵が並んでいる。
気分転換したいとき、パッと飛び込めば、日々の雑事が忘れられる。映画やライブのようにスタート時間が決まっていないから、ふらりと入って好きなときに出ていける。静かなライブラリーやカフェもあり、金曜は夜8時まで開いている。
そんなサラリーマンにやさしい美術館になったわけは、その成り立ちにあった。
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