お正月は海外旅行も帰省もしない、福袋にも興味ナシ……という人は、上野の東京国立博物館に行ってみてはどうだろう。
博物館も進化しているから、中学生のとき行ったきり、という人は、かなり印象が変わるはずだ。とくにお正月は、特別に公開される作品や子供向けのアクティビティもあり、一人でも家族でも楽しめる。
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お正月の展示の目玉は2つ。「新春特別公開」と「東洋館リニューアルオープン」だ。
「新春特別公開」では、水墨画の最高傑作とされる長谷川等伯の《松林図屏風》(国宝)、尾形光琳《風神雷神図屏風》(重要文化財)などが、1月2日~14日に限って展示される。どちらも人気が高く、これを見るためにわざわざ足を運ぶ人も少なくない。
あの”要注意作家”も憧れる、水墨画の最高傑作
≪松林図屏風≫には、霧の立ちこめる松林が描かれている。絵の前に立つと、あたりはしーんと静まり返り、自分の足元までもやに包まれていくようだ。長谷川等伯は能登で仏画を描いていたが、30代のとき京都に出て、豊臣秀吉や千利休に重用される絵師に上り詰めた。
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会田誠《電信柱、カラス、その他》2012年 Courtesy: Mizuma Art Gallery(森美術館で3月31日まで開催中の「会田誠展」で展示中)
前回紹介した森美術館の「会田誠展 天才でごめんなさい」には、この作品の空気感を思わせる《電信柱、カラス、その他》という作品が展示されている。
会田は≪松林図屏風≫のコピーをアトリエに張っておいて、絵の雰囲気や格調のようなものを吸収して制作したのだという。
お次の《風神雷神図屏風》は、江戸時代の天才絵師、尾形光琳の代表作。まばゆい金をバックに、右には白い風袋で疾風を起こす風神、左には太鼓で雷鳴をとどろかす雷神が、黒雲とともに描かれている。計算された構図、ユーモラスな鬼の表情が印象的だ。
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