印象派はなぜ「スーツ族」を魅了するのか

ブリヂストン美術館「気ままにアートめぐり」より

さて、お次は冒頭にも登場したルノワールの《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》である。ミュージアムショップでのポストカードの売り上げはナンバーワン。ブリヂストン美術館の看板娘だ。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》1876年

当時30代半ばだったルノワールは、売れない絵描きだった。あるとき、老舗出版社の社長で社交界でも注目を浴びていたジョルジュ・シャルパンティエから、娘の肖像画を依頼される。ルノワールにとってはチャンス到来である。

「気に入られたい」と切羽詰まるルノワール

この絵には、社長に何とか気に入られようとする切羽詰まった感じがある、と貝塚さんは見る。テストを受ける受験生のような緊張感がみなぎっているというのだ。

「女の子がきれいな三角形の構図に収まっています。スポットライトが当たっているかのように明るく浮かび上がらせ、背景はトーンを落として奥に引っ込むように工夫しています。肌色ではなく、青、赤、黄色などを塗って、少し離れた所から見ると4歳の女の子のやわらかい肌に見えるようにしています」

実際よりかわいく描く、なんてこともあったかもしれない。必死で取り組んだかいあって、社長のメガネにかない、ルノワールは合計7点の肖像画の注文を受けることになる。

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