印象派はなぜ「スーツ族」を魅了するのか ブリヂストン美術館「気ままにアートめぐり」より

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最後は貝塚さんお勧めの1枚、ギュスターヴ・カイユボットの《ピアノを弾く若い男》。昨年購入したばかりの作品だ。

ギュスターヴ・カイユボット《ピアノを弾く若い男》1876年

パリ中心部の瀟洒な邸宅でカイユボットの弟がピアノを弾いている。

「ドガのように、しっかり黒を使って輪郭をとっています。窓から差し込む光が部屋の中に満ち渡っていく様子を、ピアノの光沢、弟の指先、壁紙の反射などを使ってうまくとらえている。逆光になる弟の表情をどの程度まで具体的に描くかという工夫もあります」

ピアノは当時最新式だったエラール社のもの。裕福なカイユボットは貧しいモネやルノワールの作品を買い、印象派を支えた人物として知られている。近年は画家としても見直されているが、日本にはこの絵を含め、2点しかないそうだ。

印象派のほか、モディリアーニ、藤田嗣治らエコール・ド・パリの画家たち、20世紀のピカソやブラック、日本の近代洋画、戦後の現代美術まで、約170点が並ぶ今回の展覧会。金曜の夜は比較的すいているので、ゆっくり見られる。

 

ブリヂストン美術館
東京都中央区京橋1-10-1
TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
10:00~18:00(祝日を除く金曜は20:00まで) 入館は閉館の30分前まで。一般800円  

作品はいずれもブリヂストン美術館蔵  

 

仲宇佐 ゆり フリーライター

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なかうさ ゆり / Yuri Nakausa

週刊誌のカルチャーページの編集・執筆を経て、美術展、ラジオ、本などについて取材、執筆。全国の美術館と温泉をめぐり歩いている。

 

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