6年半にわたる工事を終えて昔の姿を取り戻した東京駅。大鷲のレリーフや干支の彫刻がよみがえったドームは迫力十分で、通るたびに見上げてしまう。駅舎の中に入ってみたい人におすすめなのが、東京ステーションギャラリーだ。
歴史を感じさせる赤レンガの壁、丸窓から光が差し込む踊り場など、1914年(大正3年)の創建当時の雰囲気を味わえるとあって、鉄道ファン、建築好きや歴史好き、観光客、家族連れまで、さまざまな人が訪れている。
ギャラリーでは今、この場所ならではの展覧会、「始発電車を待ちながら 東京駅と鉄道をめぐる現代アート9つの物語」が開かれている。
9組のアーティストが東京駅と鉄道をテーマに新作に取り組んだ。Suica、PASMOなどの交通ICカードを使って参加できる作品もある。ギャラリーの空間に合わせて作られた、ここでしか見られない展示になっている。
では、ちょっと中に入ってみよう。最初の展示室は、床から天井まで、おもちゃの青いプラレールが張り巡らされている。山や牧場が点在し、駅の中とは思えない不思議な空間。入ってきた人は、一瞬、あっけにとられた表情を見せる。
「特に子供は、空間がすごい!と素直に感じて楽しんでくれます」と、東京ステーションギャラリーの田中晴子学芸課長は言う。パラモデルという2人組の作品だ。夏の暑い時期に朝から晩まで作業し、1カ月をかけて完成させた。
次に登場する本城直季は、風景をミニチュアやジオラマのように撮った写真で人気を集めているアーティスト。新作の《new tokyo station》(冒頭の写真)は一見おもちゃのように見えるが、実は本物の東京駅。丸ビルの屋上から撮影したものだ。写真を見ている自分はこの駅舎の中にいるわけで、まるでおもちゃの中にいるような錯覚にとらわれる。
こうしたミニチュア風の写真を撮ってみたい人のために、最近は「ミニチュアモード」や「ジオラマモード」の付いたデジタルカメラが発売されている。
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