東急電鉄が取り組むO2Oによる街づくり(後編)《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
前回は、「二子玉川ライズ」でネットとリアルを融合し、どのような近未来的なことが実現されたかを見た。O2O(オンライン・ツー・オフライン)における東急電鉄の先駆的な取り組みがそこにはあった。
しかし、それは、一朝一夕でできるものではない。それは長年の蓄積があってこそ、だ。
東急電鉄は、2007年度、PASMOの読み取り機を使った店頭での人気商品の投票やブログとの連携を行った。08年度は、自由が丘に音や熱センサーを設置し、デジタルサイネージ(電子看板)に「街の盛り上がりマップ」として表示する。09~10年度になると、利用者が渋谷の街中で楽しめるiPhoneアプリ「pin@clip(ピナクリ)」を公開し、最新のAR機能やつぶやき機能を活用した街中イベントを展開した。
こうした積み重ねが二子玉川につながっている。
現在、取り組んでいる二子玉川でのプロジェクトの特徴として、1つのアプリだけの展開ではなく、利用者を楽しませるさまざまなアプリを「いい意味」で乱立させる「仕掛け」を作る。
そのために、アプリ開発事業者がアプリをより低コストで、しかも短期間で作れる環境(プラットフォーム)を用意する。商業施設の屋内位置情報サービスを提供するプラットフォームだ。開発は国際航業が担当する。
現在、「ルート案内アプリ」や「付近のお店を探せるアプリ」など、屋外で位置情報を利用したアプリは数多い。グーグルマップなどで地図、ルート検索のオープンな開発環境が提供され、携帯電話に標準でGPSが搭載されていることなどで、開発負荷が大幅に軽減しているからだ。