東急電鉄が取り組むO2Oによる街づくり(後編)《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
利用者の属性情報と位置情報に加え、「行動履歴」も解析対象にする。利用者の行動ログの収集・解析を行い、利用者ごとにより精度の高いおすすめ情報を提供する。その時間に、その場所にいる、その人だけにぴったりの情報を配信する。
ログの解析は、国立情報学研究所の協力で行う。
3月末まで展開していた「ニコトコ」サービスでは、利用者のQRコードの読み取り履歴、登録情報だけではなく、性別・年代・趣味ごとの一般的な行動傾向の情報も利用している。たとえアプリを初めて使う場合でも、その利用者と似通った属性の行動傾向に基づくおすすめも展開できる。
国際航業のプラットフォームでは、位置に関するログ解析機能を提供。「11年度、約5メートルの正確性で位置が取得できる環境を作った。店舗の中に実際に入ったかどうかまでの来店履歴がとれるようになるだろう。これまで店舗側では購買履歴しかとれていなかったため、店舗の方からは、とても価値があるとの感想をいただいている」(田端氏)。
街づくりだけではない。東急電鉄は、鉄道事業でもO2Oの取り組みを発表している。
12年3~4月、Yahoo! JAPAN、トッパン・フォームズと提携し、東急東横線の渋谷駅と自由が丘駅で、NFCのスマートポスターと「Yahoo!ロコ」を活用したO2Oの実証実験を行った。クーポン情報などをNFCタグに埋め込んだスマートポスターを駅に設置し、情報を読み込んだ利用者にYahoo!ロコを経由してリアル店舗に来店してもらうという実験だ。
12年4月からは、マピオンが運営する携帯位置情報ゲームのケータイ国盗り合戦とタイアップして、東急線の駅や二子玉川ライズなどを攻略スポットにした期間限定スタンプラリーも主催している。
多方面でのO2Oの取り組みについて、東急電鉄・都市開発事業本部企業統括部企画開発部企画担当の福島啓吾氏は次のように話す。