東急電鉄が取り組むO2Oによる街づくり(後編)《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》

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「位置情報サービスはまだ黎明期。確たる方策はどの企業も築けていない。各事業で、さまざまなプレーヤーと多方面の角度で取り組みをして、成功と失敗の事例を共有し進める方法が現段階では適している。街づくり事業者と、鉄道事業者の取り組み角度はかなり違うので、多方面へアプローチできる」

二子玉川のプロジェクトでは、15年度の二子玉川ライズのグランドオープン(残りの区画と公園が完成)に向け、新しいサービスを作っていく。

今後の目標を話す福島氏の口調は熱い。

「まずは、サービスを横展開していくことが重要。現在稼働中のアプリは2つだが、これから30アプリが増える。また、コンソーシアムの参加企業みんなで議論して利用者にとってのサービスの価値を高めていきたい。足りないサービス、求められているサービスは何か。もっと深めていく。最後に、中期的な目標になるが、街の付加価値を高める意味で研究すべきテーマがある。街中のさまざまなデータを融合して分析しサービスに返していくというテーマだ」

具体的にはどのようなものか。

「たとえば、センサーやカメラの画像認識による人の表情といった多様なデータ。街の情報は位置情報だけではない。このテーマについても、コンソーシアムという母体を活用する。より深い付帯状況や個人の感情を推定するコンテキスト分析やログ分析ができればいい。ただ、プライバシーの問題を考慮するのも重要だ。スマホや携帯電話だけではなく、違う媒体にも情報を返して街全体のサービスを高めることができるかどうかをも含めて検討していく」

東急電鉄は、ITの拡大を大きな機会ととらえ積極的に街の付加価値づくりに取り入れている。大切なことは、リアルのお店の人や利用者が本当に求めるサービスを作ること。

その際、今、社会的な問題となっている個人情報の取得、管理、活用は、とりわけ、利用者が納得する形で行うことが求められるだろう。

利用者と店舗の双方が満足する価値をO2Oで提供することに成功すれば、二子玉川は近未来の街づくりのモデルケースとなる。
(ITアナリスト・松浦由美子 =東洋経済オンライン)

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