草食系マッキンゼーが営む、面白い不動産屋 新世代リーダー 林 厚見 不動産プロデューサー
「デカダンス・アジト950万円(東京都港区赤坂)」「日本であり日本ではない団地(東京都足立区・月額賃料8万2000円)」・・・。思わず、訪れた瞬間、面白さに心を奪われる。DIYのようなリノベーション物件から、ワケあり物件まで、一つとして同じものがない。まるで宝探し、いや自分探しをしているかのように、何時間でも見ていたくなる不動産マッチングサイト。それが東京R不動産だ。月間のアクセス件数は、350万以上にものぼる。
中古物件を中心とした「不動産のセレクトショップ」であると同時に、新しい「不動産メディア」でもある東京R不動産は、不動産・デザイン・編集のプロたちで運営される。そのサイト運営や賃貸売買物件の仲介を行うのが、スピーク(林厚見/吉里裕也共同代表)だ。
同社は仲介という流通面にも根を張りながら、新築物件のプロデュース、リノベーション、設計や空間デザイン、さらには地域再生などまでを行う企画/デザイン会社。それがスピークの実像だ。年間の売上げは数億円、社員も15人前後。だが、規模ではない。同社が関わる案件は、他と明らかに違う。いまの日本の閉塞性を打ち破る、「軽やかな未来」を感じさせてくれる。林厚見氏は、その共同代表の一人。大学で建築学を学んだ後、渡米留学、大手コンサル、デベロッパー会社を経て、2004年に同社を設立。設立までどんな人生を歩んできたのか、これからの目標は何か、などを語ってもらった。
――学生時代も含め、現在までのキャリアを教えていただけますか。
僕はもともと野心のあるタイプでは全然なくて、文化系のマイナーな高校生でした。ハードロックのコピーバンドを組んでベースギターを担当したりもしていました。でも、別に目立ちたいわけじゃなく、単に音楽が好きだっただけ。
大学で建築学科を選んだ(東京大学工学部建築学科)のは、東京芸術大学で建築をやっていた従兄弟の影響なんです。なんだか面白そうだなと興味を持って首を突っ込んだら、はまってしまい、いわゆる建築家、アーキテクトという職業にひかれて建築学科に進みました。そこで古いものから現代のものまで建築デザインの世界にどっぷり浸ったんですが、一流の才能がないことは早くにわかってしまった。
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