草食系マッキンゼーが営む、面白い不動産屋

新世代リーダー 林 厚見 不動産プロデューサー

――そこで「東京R不動産」というサイトが話題になるわけですが、そういう名前の会社は存在しないんですね。

「東京R不動産」はサイトの名前です。建築家の馬場正尊さんの設計事務所であるオープンエー社と共同運営をしています。吉里と馬場さんはフリーランス時代から仲がよく、彼らのあいだで「これからはリノベーションが面白いよね」「日本橋の裏に増えている、古い空きビル素材を紹介してマッチングするウェブメディアをつくろう」といったような、アイデアが出てきた。

当初はビジネスモデルもなかったのですが、僕が会社をやめたタイミングにはすでにビューワーがどんどん増えていたので、このサイトをちゃんと仕事にして、不動産の流通業界に一石を投じるくらいに大きく出よう、と会社設立と同時に参画し、事業化しました。結果、ニッチでありながら、感度の高い人たちの強い支持を得ることができるようになった。いまだに広告費を一銭も使っていませんが、不動産会社のウェブサイトとしては、恐らく国内で一、二番目に集客があるサイトになりました。

高収入だけを目指すと、つまらない人生になる

――いまもみんなバラバラで、それぞれが別の仕事を持ちながら、フリーエージェント的に働くというスタイルを貫くというユニークなスタイルです。

東京R不動産のメンバーは、自分のミッション次第で、自分のペースで自由に仕事をするフリーエージェントです。グループ内ベンチャーもいくつも出来ており、兼業は自由なんです。「個人と会社のいいとこどり」の働き方をつくっています。そして、会社としては規模成長がテーマや目的になることはなく、僕らにとってあるべきインパクト、つまり社会への影響力の進化、世の中の文化的前進の総量こそが成長であるとしています。

――規模成長を追うことが、日本の不動産業をつまらなくするのでしょうか。とはいえ、会社経営ですから、売上げとか数字とか、一定のビジネス規模を考えざるをえない?

そうですね。ビジョンの追求のためには、事業をたくましく戦略的にやって利益を得ていくことにも当然にこだわっています。ただ、僕もある意味で草食なのかもしれませんが、別にリッチになることや、偉い人になることが大事なわけではない。僕は自分の人生が面白くて、わくわくするということに対して貪欲なので、高収入だけを追っていると、すごく損した気分になるんですよ。収入のために証券会社に行って年俸が倍になっても、朝起きて楽しくない人生なのであれば、それは人生が無駄になる。だから貪欲だからこそ、高収入は捨てるという場面もありえるんです。

――それよりも、自分のやりたいことや案件を手掛けるほうが大事?

やりたいことがいろいろと出てくるので、それが最優先です。ただ、「面白いこと」と、「経済的に健全であること」を両立させるのは往々にして難易度が高い。それは建築でもビジネスでも同様。めちゃめちゃ頭を使って考えて、それが両立するようなアイディアにたどり着くしかないんですよ。

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