日本のちょうど裏側に当たるブラジルと日本の時差は12時間。渡航にはおよそ、30時間以上かかる。そのため、2年間の赴任中、日本に帰ったのは1度きり。そのかわり、「夫が自腹でしょっちゅう来てくれました。ブラジルからの飛行時間と日本からの飛行時間がほぼ同じの中間地点、ニューヨークで会ったこともあります」。
時差は、むしろ使える!
仕事では、この12時間という時差の長さを逆に利用して働いた。
「会社から帰って子どもを寝かしつけた後、電話会議で日本とやり取りするのです。時差の長さもむしろ前向きにとらえていましたね」
「前向き」「どうにかする」「楽しむ」……。小林さんの口からは、愚痴めいた言葉がついぞ出ない。
そうはいっても、「女1人子連れブラジル赴任」なんて前例のないことをやってのければ、よく言わない人や周囲の無理解もあったのではないか。
「よく思ってない人はいましたね。男性って、自分の奥さんを基準に考えますから、無理もありません。そういうときはムキにならず、『ウチの女性社員の海外赴任についていくために、旦那さんが会社を辞めた人だっていますよー』なんてふうに、言うようにしています。すると男性社員は『エエッ』と驚く。
こういう例もあるってことはちゃんと言わないと、人って自分の常識外のことには、アンテナが働かないものですからね」
しっかり周囲を啓蒙しつつ、決して嫌な印象は与えない。それができるのは小林さんの天賦の才なのかもしれないが、参考になる話だ。
どれだけ働けるかは、刻々と変わる
2年間のブラジル赴任後は、日本に戻り、引き続き南米地域の営業とマーケティングを行う部署に属しながら、品質管理向上プロジェクトやクオリティマネジメントを行うクロス・ファンクショナル・チームに参画するなど、より経営に近い大局的な仕事を数多く手掛けてきた。
そして今は、日本を含めた各拠点の輸出業務や車両供給プロセスのマネージャーとして活躍中。これからは、「今後大きな成長が見込まれる成長市場の事業計画など、未だやっていない仕事に挑戦したい」と意欲を燃やす。
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