「日産自動車で、育休取得後は育休取得前にいた部署に戻るようになっており、時短勤務の人に昇格機会を与えないとか降格させるといったことは、コンプライアンス的に認めません。私の場合も、職場に戻ってすぐ、上司に『昇進試験を受けてもらうから』と言われました」
とはいえ、小林さんは出産のため、昇進試験受験者の査定期間である4月から12月のうち、4月から8月までしか勤務していなかった。それでも上司は、「それはそれで、みんなが認めて推薦しているのだから自信を持って受けろ」と背中を押してくれたという。
「それでも、役員へのプレゼンの場では真っ先に『私は査定期間の半分は休んでいます。ですから、4月から8月までにやったことを報告させていただきます』と隠さず言いました」
この率直さ、飾らなさが、小林さんの魅力となり、気が付けば周囲の人望を集めているのかもしれない。
「そんな大したものではありません(笑)。ただ、上司には安心して仕事を任せてもらえるようにはしてきたつもりです。
自分が上司になって思うのですが、たとえば海外7拠点くらいでテレビ会議する設定1つとっても、時差を考慮しないだとか、ささいなミスをする人がいる。それって大したミスではないのだけれど、こうした事務処理もきちんとすることは、社会人として意外と大事なのだと思います」
1歳、7歳を連れて、いざブラジルへ
そして小林さんが37歳のとき、いよいよ海外赴任のチャンスが巡ってきた。
「日本やアメリカのように会社が大きくなると、開発は開発、企画は企画と、仕事が細分化して、全体が見えない。だから、海外の事業社で生産から販売まで包括的に事業を見ること。海外から、本社を見ることは長年の希望でした」
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