藤原さんは、非営利、アフリカ、リスク最大の5、を選択した。割り当てられたプロジェクトは、「ナイジェリアで、小学校の給食のロジスティクスを改善し、地元の女性や農家の雇用創出に努めること」。
クライアントは、ロンドンを拠点とするNPOだ。費用はクライアントが負担して、現地でのフィールドワークを含む5カ月のプロジェクトを学生だけで遂行する。
最初の4カ月は、クライアントのマネジメント方法、市場調査方法など、コンサルティング業務の基本を学び、最後の1カ月は現地に駐在する。
2012年5月、藤原さんは、チームメート3人とナイジェリア西部のオスン州へ向かった。世界遺産に認定された原生林「オスン・オソボ聖林」があることでも有名な州だ。
滞在先は、シャワーの水もほとんど出ない宿泊施設。羽虫が大量に飛び交い、1日に3回は停電するという過酷な環境だった。
そのうえ、4人のチームのうち、藤原さんを含む3人が腹痛に悩まされた。そのうちの1人、アメリカ人女性はマラリアに感染してしまったという。チーム全員、見る見るうちに、激ヤセしていった。
「冒険的な要素が大きいプロジェクトを自分で希望したとはいえ、想像を絶する日々でした。生半可な気持ちで、国際開発協力はできないな、と思いましたね」
藤原さんたちが現地で行ったのは、小学校の給食にかかわる地元の人々の聞き取り取材だ。農家、食材を仕入れる女性グループ、州政府、小学生など、150人余にインタビュー。その模様は、テレビ局や新聞で「アメリカから優秀な学生が、オスン州のためにやってきた」と大きく報道された。
調査の結果、見えてきたのは、「学校給食」がおカネになるとは夢にも思っていない農家の人たちの固定観念だった。採れた食物は市場で採れただけ売る。「お互い協力し合って大量に売る」「倉庫に備蓄して定期的に収入を得る」という方法があることを知らなかったという。
藤原さんたちは、「農協の設立・強化」「倉庫を政府が貸し出すシステム」などを提言した。最終報告会には、州の副知事も訪れ、地元テレビ局の前で、「貴重な提言を実行するべき努力する」と声明を出したそうだ。
「今、振り返ると、達成感はとても大きいプロジェクトだったと思います。でも、これを仕事としてずっとできるかと聞かれれば、はい、と自信を持っては言えないですね。それぐらい過酷で、正直、早く研修が終わらないかなと思ったほどです。
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