イノベーションというと、技術革新と日本語訳され、IT業界がよく使う言葉という印象があるが、実は業種にとらわれず、あらゆる企業が全社を挙げて取り組むべき経営施策なのだという。
カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクールに留学中の藤原謙さん(30歳)は現在、シリコンバレーで「オープンイノベーション」(技術や知的財産を社外に開放することで、活用事例を増やし、市場を拡大させることによって利益を得る考え方)という経営概念を、世界的な大家、ヘンリー・チェスブロウ教授の元で学んでいる。
藤原さんは、大学時代から、宇宙の研究に魅せられ、大学院卒業後は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に就職。JAXAの宇宙科学研究所で、天文衛星プロジェクトなどに携わった。
MBA留学を志したのは、大学院の先輩が、超小型人工衛星の設計開発をするベンチャー企業を興したことがきっかけだ。「自分も宇宙ビジネスの本場、アメリカでビジネスを学び、いつか起業してみたい」と、JAXAを休職。あこがれのカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)のビジネススクールに留学した。
将来は、日本の技術力をフルに生かして、日本発の宇宙ビジネスを開花させるのが夢だ。
UCバークレーでは、「できるかぎり自分の知らない分野に挑戦している」という藤原さん。シリコンバレーでは、最先端のベンチャービジネスやイノベーションを学び、アフリカでは、NPOプロジェクトを体験した藤原さんの留学生活を取材した。
隣の席にいたのは、宇宙ビジネス界の”スター”
2011年8月にカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)ハースビジネススクールに留学した藤原謙さん(30歳)には、渡米以来、ずっとチェックしているウェブサイトがある。
「Silicon Valley Space Business Roundtable」というサイトで、シリコンバレーで宇宙ビジネスに情熱を燃やしている人たちが運営している、ニッチなコミュニティだ。そこには、宇宙ビジネスについての最新情報や交流会、投資説明会などのイベントが掲載されている。
留学生活も落ち着いてきた11月、このサイトで、Earth2Orbit社(アースツーオービット社)の創業者、アマレシュ・コリパラ氏の講演会があることを知った。Earth2Orbit社は、インドが打ち上げるロケットの余剰スペースを海外に売るビジネスを手掛けていて、藤原さんも以前から注目していた企業だった。
藤原さんは、早速、講演会に参加し、ビジネススクールの外にも、宇宙ビジネスにじかに触れる機会があることを初めて知った。さらに、このイベントで、近々、宇宙ビジネス関係者の交流朝食会があることがわかり、それにも参加してみることにした。
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