すぐ「退職」をちらつかせる女性に言いたい! 慰留前提の交渉は、長い目で見て損になる

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「異動が無理だったら本当に辞めるの?」と聞いてみたら、「そのくらいの気持ちで異動したいんだって、伝わるかなぁと思って。」とまたにっこり。腹立ったなぁ、あのとき。自分の計画どおりに人事をしてもらおうとする彼女の自己中心的な発想にむかついてしまい、「その人事、実現させてなるか!」と底意地の悪いことまで考えたくらいです。

私は怒りを抑えながら、「退職という切り札を使って人事をしてもらうなんて、品のないことしないほうがいい」「そんな方法で異動したところで通用しない」などと意地になって反論しました。でも、「そうでしょうか。キャリアって、使える手はなんでも使って、つかみ取るものじゃないんですかね」とさらっと言われ、それ以上何も言うことができなくなってしまいました。

慰留されるために誰かと会うのは下品だ

そして、後日、私の願いも虚しく、彼女の異動は実現したのです! 私は、彼女が「面談してもらう」と言っていた役員に対して、がっかりした気持ちを持ったし、それからは彼女とも距離を置くようになってしまいました。今考えるとひがみもあったのでしょう。こちらはコツコツ、どんな仕事もやるようにしている。うまく欲しいものを手に入れていく器用さなんてまったくありません。彼女の処世術をどこかで妬ましく感じていたのかもしれません。

実を言うと、私自身も退職を決めた後、いろいろな人たちに慰留していただいて思わずうれしくなってしまった覚えがあります。「思っていたよりずっと評価してもらっていたんだなぁ」と感じるとなんだか、辞めたくないような気持ちにまでなってしまって。そして役員との最終面談のときに、その気持ちをちょっと匂わせてみてしまったのです。「私がやってみたいことを、なんでもやらせてやるから会社に残れよ、なんて言われたら辞めるのをやめるのもあり?」と調子に乗って考えてしまったわけです。

そうしたら、「お前さ。適性があって必要ならばどこへだって異動して仕事するのがサラリーマンだよ。それを辞めたいんだろう? やりたい仕事やミッションがあるんだから、寂しがるんじゃない。わくわくしながら去らなくちゃ」と笑われてしまいました。お見通し、かつ最後の大恥です。「……ですよね!」と頭をかきながら、私は気持ちがすっきりして、慰留されるために誰かと会うのは下品だな、とようやく心から悟りました。

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