最近、複数の企業で女性社員と面談する仕事が重なり、合計50名以上の人たちとお話する機会がありました。企業や個人によっても事情はさまざまなので、十把一絡げに語るのは危険ですが、「2、3年で辞める」「いつ辞めてもいい」と当たり前のように口にする、「覚悟」の緩い女性がいたり、そういう若手の育成に苦労している人たちがいたりして、私にとっては衝撃的でした。
話を聞きながら、「そんな気分で働いてる人がいるのか……」と思う気持ちと「そりゃ急に学生気分だって抜けきらないわよね」と思う気持ちが半々くらい、湧いてきました。採用時点でどのくらい相互理解できているのか、という課題もあるでしょう。わくわくして意欲高く入社したのに、管理職のマネジメント力や育成力が追いつかなくて、そんな状況を作ってしまっているということもありそうです。でも、「長く活躍したいが将来が不安だ」と悩む女性と同じくらい、「ずっと働くわけじゃないし!」と緩い気分の女性もいっぱいいるんだなぁと改めて実感させられたのは事実でした。
「辞める」という言葉は、会社員にとって本来はとても重いものです。「退職したいと思っています」と言ってみたら、「そうか。わかった。」とあっさり受理されることだってあり得るわけで、そうなってしまったら本当に退職手続きに入ってしまいます。「働き続ける」ことがある意味宿命になっている男性陣は、「辞める」と言うときは、ある程度の覚悟が決まっているときか、その前の段階の「今の仕事に対して迷いがある」という相談のことが多い。これまでの私の経験では、男性陣が「辞める」と言ってしまってから踏みとどまるケースはあまりありませんでした。そのくらいこの言葉を使う時には覚悟をしているように感じたものです。一方、女性の中には、「慰留前提」で、政治的に、あるいはごく気軽に、この言葉を使う人がいるのも確かなように思います。
大好きだった恋人との関係がややマンネリ化してきた、自分が大切に思われていないような気がする……といったときに、相手の気持ちを試すために「私たち、もうダメかもしれないね……」などと言ってみる、みたいな。「ダメなんかじゃないよ!」と言われる前提の、「これからもう一度大切にしてよね!」というクギを刺すのが目的であって、決して別れたいわけじゃない、といった状況にすごく似ているような気がしてしまいます。「そうだね、ダメかもしれない……」なんて万が一言われたらパニック状態、みたいなね(笑)
「退職」という切り札を利用
だいぶ前のことですが、当時、駆け出し管理職だった私は、このタイプの女子と遭遇しました。誘われて2人で食事に出かけ、先輩ヅラして話を聞いたり説教したりしているうちに、彼女の考えるキャリアの話題になりました。すると、彼女はにっこり笑いながら、「○○の部署に憧れているんです。もう営業も3年やって、大体わかったし……。だから、役員に面談をお願いして、異動がかなわなかったら辞めますって言ってみようと思うんです」と言い出したのです。
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