人事部はつらいよ!嫌われ役の本音と実態 人事部員だって悩んでいる
――「戦略人事」や「グローバル人材の育成」など、最近の人事部を巡る話題は華やかで格好いいですね。
ベンチャー(40):いやいや、超地味です。対「人」ということにおいて人事はフロントに立つ業務ですが、実際には黒衣に徹する役割。世間では人事は「組織を動かす」的な部分にフォーカスされますが、それは仕事の1割。残り9割は、人事制度や組織を作る「運用」です。
メーカー大手(47):そもそも、メーカーの人事には人事権がまったくありません。提案や相談を求められたときは対応しますが、強いのは現場。私たちは、ビジネスを推進していくのをサポートするという位置づけです。
金融機関大手(43):人事の仕事って究極、将来の組織のトップを育てることだと思うんです。つまり、最高のゼネラリスト。でも、最近は各部署で専門性が求められ、それに応じているとゼネラリストが育たない。将来のリーダーに求められる資質を想像してそういう人材を育てようとしても、成果が出るのはかなり先。悩むことばかりです。
外資系(32):外資系の人事はグローバル人材の育成など、グローバルに働ける部署では確かにあると思います。ただ、海外から来る社員のビザ申請やアパートの手配、さらにお花見の準備まで、事務的なことも多いので、やっぱり裏方的な要素が強いですね。
辞めると言わせる事も
――人事を巡る事象は秘密保持が求められるからか、外部にはうかがい知れないところがあります。どんな苦労がありますか。
外資:本国から来た役員と女性社員とが愛人関係になったことがあります。しかも、役員はその社員を、仕事ができないのに高く評価し、一人だけ語学の学校に通わせるなど必要以上の教育費用をかけました。本社から来た役員だったので社長も注意できず、その社員も役員気取りで行動する……。評価の公平性やコンプライアンスの根底を覆される「事件」でした。最終的に人事から注意しましたが、その日から役員に口をきいてもらえなくなりました(苦笑)。
あと、連絡もなく出社しなくなった社員の安否確認など、本来の人事の業務ができなくなることも時々起きます。