人事部はつらいよ!嫌われ役の本音と実態 人事部員だって悩んでいる
ベンチャー:モンスター社員への対応は大変です。そうした社員は定期的に出てきます。かつて、「上長ができるはずのない仕事を振ってくる」などとクレームをつけてきた社員がいました。けれど、上長を含め周りのメンバーにもヒアリングをすると、非はその人にあった。虚言に近かった。その社員とは5、6回面談を重ねましたが、こちらから「辞めてくれ」とは絶対に言えない。事実を曲げないで伝え、「辞めます」という言葉を引き出さなくてはいけない。人事は嫌われ役だけど、嫌われたらダメ。タフな仕事です。
金融:飲みに行くのにも気を使いますね。人事部以外の社員とサシで飲むことはまずありませんし、仮に親しい同期と飲むとしても、会社から離れた場所にするとか。気にしすぎなのかもしれないですけど、自己規律です。だから、飲み会は人事部内だけになっていき、社内に友だちが減ります(苦笑)。
メーカー:会社の業績が悪い時などは、どうしても昇給や昇格などで不遇な目に遭う社員はいます。人事部にその権限はないのに、人事部のせいだと思い込んでいる社員が多い。そうした社員からは「あの人事はないんじゃないの」「まず経営陣を代えるべきで何でおれたちなんだ」って詰め寄られます。否定しても仕方ないので言い返しませんが、親しい同僚だと酒の席で「あんたのここが悪いから、そうなったんだろう」って、つかみ合いのけんかにもなります。
サプライズ退職は恥
――リストラへの対応は大変でしょうね。
外資:うちは業績が悪くなった時はシビアです。その時は正社員ではなく、契約社員に解雇通知を行うのですが、目の前で泣かれたりすると、やはり申し訳ない気持ちになります。
メーカー:人員削減の経験はありませんが、会社を分割するときに、本人の意に沿わない異動に携わったことはあります。ただその時、「申し訳ない」という気持ちを持っていたら、とてもできない。苦しむ部員もいますが、私はそれを「非情」だとは思っておらず、単純に機能論で、異動先でも仕事をやってもらえるかどうかで線を引きました。
――後悔した人事案件はありますか?
ベンチャー:未来をつくる人材を育てることが人事の役割だと思っています。なのに、その道筋を示してあげることができず、いきなり辞められた時は「うわっ、やっちゃった」と思います。最近はないですけど、サプライズ退職は人事の恥です。