人事部はつらいよ!嫌われ役の本音と実態 人事部員だって悩んでいる

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金融:チャレンジさせようと異動させた部署で、期待した成果を上げなかったときでしょうか。だけど、社員は「人財」。その財を守る役割を人事が担っているのに、成果を上げなかったからといって、「失敗しちまったぁ」なんて、口が裂けても言えない。その社員の長いキャリアを考えたとき、必要な経験を積ませることができたんだ、と考えるようにしています。

――人事部は、社内からどう見られていると思いますか。

メーカー:「伏魔殿」というか、会社のネガティブなところをやっている部署、と思われているでしょう。

外資:評価、低いです。面倒くさいことを持ってくる部署と思われているんですね。例えば、ISO(国際標準化機構)規格を知っていたほうが仕事がうまくいくと思い研修会を開く通知をすると、「すごい迷惑なんですけど」って、メールが来ることもあります。社員のためを思ってやっているのに、そう言われたりすると、結構つらいですね。

「半沢直樹」は過去の話

――「人事は好き嫌いで決まる」とも言われます。心当たりは?

ベンチャー:まったくないです。相性は見ますけど、好き嫌いで選ぶことはしません。そもそも、私たちのような社員100人にも満たない規模の会社でそれをやったら、相当ひずみが出ます。

メーカー:好き嫌い的要素があるのは否定しないけど、少なくとも、おべっかばかり使っているから昇進するという、そういう単純なものじゃないでしょう。あるとすれば、よほど余裕のある会社。私たちは、一番に仕事ができるのは誰かと考えます。

金融:確かに、話題になったドラマ「半沢直樹」では人事部の力が非常に大きく描かれていました。しかしああいうことがあったのは1990年代後半までで、今の感覚とはまるで違います。今は、上司や部下を含む「360度評価」を採り入れ、牽制機能を利かせています。ちなみに、人事部出身のトップも、うちにはいません(笑)。

外資:ただ、人事部は、異動や昇給・昇格といった社内の人事機密を握っているので、それを聞き出そうとする社員は結構います。今まで一度も話をしたことのない社員がいきなり、「次の人事はどう?」などと話しかけてくることもあります。

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