「左遷された!」その8割は、単なる勘違いだ

人は自分の能力を「3割」過大に評価する

「左遷」が生じるメカニズムを探ります(写真:xiangtao / PIXTA)
人事異動の季節にささやかれる、「あの人、飛ばされたね」という言葉。中には自分が「飛ばされた」と嘆いている人もいるかもしれない。
しかし、『左遷論』(中公新書)を上梓した楠木新氏によると、そのほとんどは人事部にとって通常の人事異動であり、「飛ばした」と認識しているケースは稀だという。人事部と会社員のこの認識のズレの背景には何があるのか、寄稿してもらった。

左遷のメカニズムを探る

3月は、人事の季節。定期異動の発表があると、社内のあちこちで「栄転」「左遷」「出向」「横滑り」などの言葉が飛び交い、異動に対して講釈を垂れる「1日人事課長」まで登場する始末だ。

この定期異動において、最もインパクトを持つのが「左遷」である。「飛ばされた!」などとセットで使われる。小説や映画のテーマにもなり、ビジネスパーソンに馴染みのある言葉であるが、そのメカニズムについてはこれまで、ほとんど論じられていない。

2月に上梓した『左遷論』を書くにあたって、左遷の用例を調べ、日本企業のみならず外資系企業の人事担当者、キャリア官僚の元人事課長にも取材を行い、左遷されたという会社員にも個別にヒアリングを行ってきた。

左遷の面白いところは、組織側の論理を推量できるとともに、社員側の働き方の課題、対応策も見えてくることだ。そういう意味では、左遷は組織と社員との接点にある特殊な概念である。今回は「左遷」が生じるメカニズムを中心に述べてみたい。

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