「静かな退職」選ぶ若者のホンネ。不満言わず「割り切って働く人」のサインこそ見逃してはいけないワケ

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私自身、38年間の経営の中で、数えきれないほどの離職に直面してきました。それは、まるで「好きな恋人・彼女に振られるような気持ち」であり、無力感や残念な気持ちを何度も味わってきました。特に、会社として最も失いたくないはずの誠実な人材が去っていく時の痛みは計り知れません。

本稿では、なぜそのような「誠実な社員」ほど離職に至ってしまうのか、その背景にある組織の決定的な特徴と、その負の連鎖を断ち切るために経営者・管理職が今すぐ打つべき「事前の一手」について、私の経験から考察します。

「心が離れる」サイン

社員の離職、特に誠実な社員の決断は、ある日突然起こるのではありません。その前段階として、彼らの心が組織から離れていく『予兆』が必ず存在します。

しかし、経営者や管理職が注目すべきは、「元々自己中心的で、転職サイトに登録しながら働いているような」、組織への貢献意欲が低い社員ではありません。そうした人材は、残念ながら組織文化に合わなかったと判断するしかありません。

本当に危険なのは、そして経営者が絶対に止めなければならないのは、全く逆のケースです。それは、「理念に共感し、仲間思いで、基本的には誠実な人間」が、「自分が思うように組織の期待に応えられていない」という強い責任感や、「ここの職場にいたら人に迷惑をかけてしまうのではないか」という自責の念から、一人で悩み、落ち込んでいるケースです。

彼らは、組織や他者への不満を口にしません。問題の原因を自分自身に求めてしまうからです。だからこそ、リーダーは彼らが発する「声なきサイン」に、誰よりも敏感でなければなりません。

表情とエネルギー値の変化

サインは、まず顔の表情に出ます。私は毎週、全体会議を行う理由の一つとして、社員の「顔色を見る」ことを大切にしています。リモートであっても、画面越しにその表情の変化を注意深く観察します。それと同時に、組織全体の「空気」、私が「エネルギー値」と呼んでいるものも確認します。誠実な社員が悩みを抱えている時、彼ら彼女らの表情からは生気が失われ、それが職場全体の雰囲気をも重くします。そのわずかな変化を見逃してはなりません。

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