中国で旧日本軍《731部隊》題材の映画が公開…反日感情への影響は?「被害者意識」について北京の"政府系機関紙"編集者と議論してみた

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし現実には、抗日映画やドラマが子どもに与える影響は今も続いている。ある友人は投資経営ビザを取得し、日本に移住しようとした。だが小学生の息子は「映画の中の日本人はみんな悪者だ」と言い、日本行きを拒んだ。

中国国旗
(写真:キャプテンフック / PIXTA)

朝ドラ『あんぱん』の戦争描写が心に残っている

最近の日中戦争映画・ドラマの中で、“和解の一筋の光”として筆者の心に残るのが、NHKの朝ドラ『あんぱん』だ。

『あんぱん』の戦争描写は、単なる悲劇の再現にとどまらず、「軍国少女」「正義」「空腹」「たまご」といった象徴的な語りを通して、戦争の記憶を未来へどう継承すべきかを深く問いかけている。

本作の中で印象深いエピソードが2つある。

戦時中、中国の庶民の家で卵を奪い、むしゃむしゃと食べた日本兵のコン太は、戦後、朝田家で「たまご食堂」を開いた。中国の庶民が与えてくれた命をつなぐ「卵」への恩を、彼は心に刻み続けてきたのだろう。

また、中国で戦死した父・田川岩男の最期を知りたいと願う和明に対し、嵩と八木は真実を語った。「戦地で親しくしていた少年に撃たれた」「少年は、ゲリラの子だった。ゲリラ討伐で日本兵に両親を殺されたんだ」

和明が「なぜ父は死ななければならなかったのですか」と切なく問いかけると、嵩は重い口調で「それが戦争なんだ」と答えた。理不尽な戦争に抗えない無情さが、そこにあった。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事