
「つたや」全景。スナックだけが他の部分から独立しており、それ以外は1階、2階ともに内部でつながっている(写真:筆者撮影)
温泉街には"色っぽいエリア"がつきものである。一時期の衰退からは信じられないほど人が集まるようになった静岡県熱海市にも当然そうしたエリアがあった。
そのエリア内に残された築70年の建物が、30年ほど放置されていた期間を経て再生されようとしている。建物だけでなく、エリア一帯を蘇らせようという動きを見てきた。
新所有者が望んだ「解体ではなく活用」
熱海駅から海に向かって坂を下り、観光客でにぎわう熱海銀座商店街を右折。早咲きの熱海桜が映えるスポットとして有名な糸川を渡ったあたり、今の町名でいえば「中央町」と言われる界隈が、かつて「糸川花街」と呼ばれた熱海の"色っぽいまち"である。
昭和33年に売春防止法が全面施行されるまでは客を呼び込む女性が立っている姿が見られたそうで、今、その大半は飲食店などに変わっている。
だが、よく見ると「妓楼(ぎろう)建築」「カフェー建築」と言われる独特のスタイルが残る建物が、数は少なくなったものの点在している。そのうちの一軒、しかもひときわ目立つ四つ角にある建物が「つたや」である。
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