"京都一ファンキーな不動産屋"が手がける廃墟の平屋集落再生、その名は「ハムレット」。3期目で危機到来、それでも困難に挑む理由

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ハムレット
現在のハムレット。敷地内の路地を挟んで建物が並ぶ(写真:筆者撮影)
さまざまな工夫で新たな住まいや仕事場となったり、文化的拠点に生まれ変わっている“廃居(廃虚)”を紹介している本連載「広がる新しい暮らし方 "廃居"という磁力」。13回目の今回は、京都府亀岡市の事例を紹介する。

筆者の印象では、関西には世の中の人がいうところの廃墟を宝として、こよなく愛する人たちが多い。そのうちの1人に「京都一ファンキーな不動産会社」を自称する株式会社川端組の川端寛之さんがいる。

最初にお目にかかったのは細長い土地の中央に立つ3軒長屋の周囲に鉄骨の柱と梁を建て、そこにコンテナを置いた謎の空間・共創自治区SHIKIAMI CONCON(京都市中京区、以下こんこん)。壁がなくても建物は成り立つという衝撃の事実を知った時だった。

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こんこん
細長い路地に建っていた長屋(写真奥)を残し、その回りに鉄骨で柱と梁を新設、そこにコンテナを置いた謎の建物、共創自治区こんこん(2022年、筆者撮影)

その川端さんは京都周辺でいくつかの集落再生を手掛けているのだが、そのうちでも平屋が建ち並び、昭和の下町を想起するような雰囲気を漂わせているのが京都府亀岡市大井町並河にある「A HAMLET(以下ハムレット。シェイクスピアの作品名ではなく、「とある集落」という意味)」である。

改修が進み始めている今も建物によっては逆に独特の廃墟感があり、再生といってもさまざまなやり方があることを教えてくれる。

ここにしかない風景に惹かれて大家に直談判

始まりは、川端さんが通りすがりに出会った昔ながらの住宅。

「当時、近くで霧霧(キリム。亀岡は霧のまちなのだ)という、やはり集落再生プロジェクトをやっていました。こちらは“DIY可”“小商い可”といった貸し方で、予算をかけずに古くなった賃貸住宅群を再生するもので、それを手掛けている最中にたまたま、現在、ハムレットのプロジェクトを進めている集落のすぐ近くを通りかかりました。

一目見て、ここにしかない景色に惹かれ、入居者募集中の看板を参考に大家さん宅を訪ねました。再生は難しいとしても、入居者募集の手伝いだけでもさせてもらえないかと思ったのです」(川端さん)

【写真】川端さんが手がけた再生例や、活気があった頃のハムレットの様子など。記事で使っていない写真も多数(28枚)
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