"京都一ファンキーな不動産屋"が手がける廃墟の平屋集落再生、その名は「ハムレット」。3期目で危機到来、それでも困難に挑む理由

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部屋
2023年時点でギャラリー&ショップとして使われていた部屋の現在。以前は押入れ部分を残してディスプレイに使っていた(写真:筆者撮影)
2023年時点で食堂となっていた部屋
2023年時点で食堂となっていた部屋の現在。以前は押入れ部分が小上がりのように使われていた(写真:筆者撮影)

「面で作っている以上、リスクはあって当然ですし、経済合理性のまっただ中で消されている集落を再生するのは簡単なことではないと実感しています。でも、そもそも、まちづくりに完成はありません。

かつてコロナ禍ではこんこんも半分以上空いてしまいましたが、逆にその後を埋めるように入ってきた人たちが非常に自主的に場を運営、自分たちで自治会を作ってイベントをするようになりました。琥珀街も数年前は絶望的でしたが、ある日、潮目が変わった。

ハムレットも今は停滞していますが、ここからはリセットのタイミング。これまでと違う人たちが関わるようになっており、その人たちを巻き込んでいこうと動き始めています」

川端さん
川端さんはいつも、ちょっと変わった服装で登場。ハムレットの所有者家族は後日、スーツ姿の、いかにも営業マン然とした恰好の人だったら話は聞かなかったとおっしゃったそうだ(写真:川端組提供)

生き生きし始める人たち

所有者家族の中にも、当初は再生を不審がっていたものの、再生途中から前向きになってきた人がおり、その人がどんどん生き生きし始めているとか。

所有する不動産が古くなればなるほどオーナーの表情もくすんで諦念(ていねん)が混じるようになるが、そこに再生の望みが生まれると顔つきは変わってくると川端さん。

ここまでのやりとりの中でなにかしら、感じるものがあったのだろう。その表情がより明るいものに転じる日も近いのかもしれない。

建物入口の植栽
ガラなども上手に使った建物入り口の植栽(写真:筆者撮影)
川端さんたちが使っている部屋
現在、川端さんたちが使っている部屋。照明がかっこいい(写真:筆者撮影)

ちなみにハムレットは住んでも、店を開いても、オフィス、アトリエに使っても可。京都と同じような感覚で店をやろうとすると難しいところもあろうが、いろいろな試行錯誤をしてみたいという人にはなんでもできる場。チャレンジしたい人にはお勧めしたい。

【写真】川端さんが手がけた再生例や、活気があった頃のハムレットの様子など。記事で使っていない写真も多数(28枚)
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中川 寛子 東京情報堂代表

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なかがわ ひろこ / Hiroko Nakagawa

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30年以上不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービスその他街の住み心地をテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に『「この街」に住んではいけない!』(マガジンハウス)、『解決!空き家問題』(ちくま新書)など。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会各会員。

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