昔といまを比べると、腎臓病の常識は大きく変わりました。たとえば、以前は「腎臓が弱い人は運動なんかしないで安静にしているほうがいい」「腎臓病になったら非常に厳しい食事制限に耐えなくてはならない」「腎臓病はいったん悪くしたらよくならない」といったことが当たり前とされていました。
しかし、これらはすべてウソ。いまは腎臓病の人も適度な運動をするほうがいいとされていますし、食事もちょっとした工夫で普通の人と変わらないものが食べられるようになっています。もちろん「腎臓病はよくならない」というのも誤りで、「腎臓リハビリ」というメソッドを実行すれば、着実に進行を抑えたり病状を回復させたりできるようになっているのです。
この「腎臓リハビリ」のメソッドの提唱者として、従来の腎臓治療の“誤った常識”を大きく変えてきたのが上月正博・東北大学名誉教授。上月教授は、新著『
腎臓大復活』の中で、腎機能を強化して人生をよみがえらせていくためのノウハウを惜しみなく紹介しています。
以下では、その上月教授が「腎機能低下を進ませる『安静』の怖ろしさ」について解説します。
腎臓病の治療方針が180度変わった
慢性腎臓病の治療方針で、昔といまを比べていちばん大きく変わったのは、「運動をしちゃダメなのか、それとも運動をしたほうがいいのか」という点です。
以前は腎臓が悪い人には「安静」をすすめるのが普通でした。しかし、安静を保っていると、心身の衰えが進んでかえって病状が悪化してしまう人が多かったのです。
私たちはこの点に疑問を持ち、多くの実験や研究を重ねて「慢性腎臓病をよくするには『適度な運動』が不可欠」であることを明らかにしました。つまり、「安静から運動推奨」へ、治療のあり方を180度転換したのです。そして、私たちの確立した運動推奨の治療メソッドは世界各国の医療界に認められ、「腎臓リハビリ」としていまや世界中多くの患者さんに実践されるようになっています。
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