
──財政力の弱い自治体が狙われました。
地方創生コンサル・ワンテーブル(宮城県)の島田昌幸前社長は、総務省の地域力創造アドバイザーという肩書を使って自治体関係者を信用させていた。
だが裏では「行政機能を分捕る」「(地方議員は)雑魚」と言い放ち、公金を食い物にしていた。
──発端は町の大型事業でした。
事業は、企業版ふるさと納税で匿名企業3社から寄付された4億3200万円を財源に高規格救急車を12台購入し、自分たちの町では使わずほかの自治体にリースするという不可解なものだった。
この事業はワンテーブルが1社のみの応募で受託。提携していた救急車ベンチャーのベルリング(東京都)が車体製造を担った。財源は企業版ふるさと納税による匿名寄付だったが、実は寄付をしていたのはほかならぬベルリングの親会社DMM.comと、そのグループ2社だった。
企業版ふるさと納税は寄付額の最大9割が還付される。親会社のDMMは寄付金の大部分を回収でき、子会社のベルリングはワンテーブルから車両製造を受注することで利益を上げられる。ワンテーブルには自治体からコンサルフィーが入り、救急車のリース事業でさらに利益を出せる。これが企業版ふるさと納税制度を使った寄付金還流の実態だった。
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