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DMMが福島・国見町の事業で巨利を得るカラクリ 弱った自治体の機能をぶんどる「過疎ビジネス」

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合法的に自治体に入り込み、公金を吸い上げる驚愕のスキーム。

福島県国見町議会の様子
真相を究明する百条委員会が開かれた福島県国見町議会(写真:河北新報)

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地方創生が叫ばれて10年。実現できたという自治体はそう多くない。では、政府が流し込んだ膨大な「地方創生マネー」はどこへ溶けていったのか。『週刊東洋経済』5月11日号の第1特集は「喰われる自治体」だ。
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福島県の北端に位置する人口8000人余りの国見町で、企業版ふるさと納税をした企業の子会社が、その寄付金を使った町の事業を受注するという“資金還流”疑惑が持ち上がっている。

過疎にあえぐ地方の小さな自治体が、民間企業に施策を丸投げした揚げ句、公金を喰(く)い物にされていた。

匿名の企業3社から受けた計4億3200万円の企業版ふるさと納税を財源に、高規格の救急車12台をほかの自治体にリースするという事業だった。備蓄食品製造のワンテーブル(宮城県多賀城市)が受託し、救急車ベンチャーのベルリング(東京都)が車体製造を担った。匿名で財源を寄付したのは、ベルリングの親会社でIT関連のDMM.comとそのグループ2社だ。

河北新報記者である筆者は2023年2月から、この不可解な国見町の救急車事業の問題を報じてきた。報道を受けて町は事業を中止し、国見町議会は23年10月、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委)を設置して事業の本格検証に乗り出した。今年3月末に一通りの調査を終え、現在は報告書の作成を進めている。

公募の段階で始まった官民の癒着

何があったのか、時系列で見ていく。浮かび上がるのは、過疎にあえぐ小さな自治体に地方創生の夢を語り、公金を喰い物にする「過疎ビジネス」の実態だ。 

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