他所の資本に雇用を依存するのは危うい。足元の産業を生かす方向へ福島の被災自治体は舵を切る。

かわうちワイナリーのブドウ畑(写真:かわうちワイナリー)
地方創生が叫ばれて10年。実現できたという自治体はそう多くない。では、政府が流し込んだ膨大な「地方創生マネー」はどこへ溶けていったのか。『週刊東洋経済』5月11日号の第1特集は「喰われる自治体」だ。
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東京電力福島第一原子力発電所から30キロメートル圏内にある福島県川内村。2011年3月の原発事故で村の暮らしは一変。村民たちは近隣の郡山市などに着の身着のままで避難した。
遠藤雄幸村長が「帰村宣言」をしたのは12年1月のこと。
「想像していたより放射線量が低かったのもあるが、それより、村人たちが避難先でバラバラになり、コミュニティーが壊れてしまった。避難先で心身に不調を来し、一人また一人と亡くなっていく。村に戻り、コミュニティーを再建しなければと思った」と振り返る。
役場機能を戻し、診療所、学校、公共施設を復活させた。除染作業も徹底した。高齢者たちは戻ってきたが、若い世代や子育て世帯には戻らないケースもあった。帰村のネックになっていたのが雇用だ。
辞める人が続出
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