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「選択と集中」は誤解されて広がった。コングロマリットこそ成長のカギ/『経営者のための正しい多角化論』松岡真宏氏に聞く

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『経営者のための正しい多角化論 世界が評価するコングロマリットプレミアム』著者
[著者プロフィル]松岡真宏(まつおか・まさひろ)/YCP Japan 代表取締役。東京大学経済学部卒業。UBS証券や産業再生機構を経て、独立系コンサルティング会社を共同創業。2025年1月より現職。『持たざる経営の虚実』、『時間資本主義の時代』(いずれも日本経済新聞出版)など著書多数(撮影:尾形文繁)
世界で成長するコングロマリット企業に学び、M&Aによる「多角化」を推し進めることこそが未来への投資である──。コングロマリット経営の重要性を訴える松岡真宏氏に、日本経済復活の処方箋を聞いた。

多くの経営者がM&Aなどの提案を頭から否定する

──今回、コングロマリット経営に関する本を書いた経緯は?

『経営者のための正しい多角化論 世界が評価するコングロマリットプレミアム』(松岡真宏 著/日本経済新聞出版/2640円/320ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

2019年に出版した書籍でも「選択と集中」がもたらす問題については触れた。だが、21世紀に入って四半世紀が経とうとしているのに、いまだに多くの経営者が「本業以外はやらない」「シナジーがない事業はやらない」と主張し、M&Aなどの提案を頭から否定する。これでは膨大な機会費用を生み出しているのと同じだ。

特に財務系の社長や、コーポレートガバナンスを言い訳にする社長にその傾向が強い。今の日本企業は、まるでパリ・コレクションに出られない「やせすぎのモデル」のようだ。もっとぜい肉をつけ、体格を良くしなければならない。

──日本では長らく「選択と集中」という言葉が金科玉条のように扱われてきましたが、それが誤りだとの主張ですね。

そのとおりだ。「選択と集中」を広めたのは、米ゼネラル・エレクトリックで1981年から20年にわたりCEOを務めた「伝説の経営者」、ジャック・ウェルチだとされるが、彼自身は「フォーカス」と言ったにすぎない。

真意は「リソースを集中投下して、どんどん新しいことをやろう」だったはず。それが日本では「新しいことをやるのはダメだ」と正反対の意味で使われている。

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