(写真左)手島健介(てしま・けんすけ)/同志社大学教授。京都大学卒業後、2010年米コロンビア大学で博士号(経済学)取得。一橋大学教授などを経て現職。専門は国際貿易論、開発経済学、産業発展論など
街の姿には必ず理由がある
──ある街がなぜ今の姿になったのか、なぜ特定の街でほかと違う状況が生じるのか。都市経済学には謎解きのような面があります。
中島 街の姿には必ず理由があり、それは経済学のツールを用いることで説明できる。本書は全12章の各章で国内の多様な地域を取り上げ、経済学マインドで街を捉える方法を示している。
わかりやすい例として挙げたのが、東京湾岸にタワーマンションが林立している理由だ。これは、丸の内のオフィスに短時間で通いたい人々、高所得層の住宅需要への応答として捉えることができる。
どういうことかというと、東京の中心部・丸の内には、高い賃料を支払える企業向けのオフィスビルが建つ。生産活動の地理的集中がもたらすプラスの効果「集積の経済」によるものだ。
一方、中心から少し離れた所では住宅需要が強くなる。そこには長時間通勤による損失(機会費用)の大きい、時給の高い人々が住むだろう。湾岸のタワマンには、似たような考えを持った、同じような立場の人が集まってくる。高所得層向けタワマンが特定のエリアに建つことには、明確な理由とメカニズムがあるのだ。
私の出身地、福岡県の例も取り上げた。博多駅西側では不自然なまでにビルの高さがそろっているのだが、それにもやはり理由がある。航空法の建物高さ規制により、博多駅周辺では標高54.1mまでの建物しか建てられないのだ。
博多駅は空港に近いから、福岡という都市の玄関口でありながら、規制緩和が行われるまで長い間、高層ビルが建たなかった。規制のあり方は、現実の風景を変える。





















無料会員登録はこちら
ログインはこちら