
役立つ歴史家の作業手順
──歴史に限らず、言葉を扱う人すべてに宛てた本だそうですね。
歴史家は過去を一生懸命調べて明らかにしているが、言いっ放しにするのではなく、ほかの人と言葉を共有しながら話を先に進めるという手続きを踏んでいる。その作業手順をさらして見せてみるのは、歴史に関心のない人にも意味があることではないかと思った。
──言葉を共有する、とは?
例えば、歴史家は過去の事柄について、「〜が起きた」といつも過去形で書くわけではない。「ここに『〜が起きた』と書かれた文書がある」と現在形で書くことで読者と共有している。
語尾が過去形か現在形かを気にしている時点でちょっと変な本だが、本書は「歴史家なら当然知っていることを皆さんにお伝えする本」ではない。自分も含めて、歴史家が無自覚的にやっていることを反省した本だ。
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