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歴史を「実験室」として駆使する経済学の最前線 「ノーベル経済学賞」研究が批判も浴びた理由

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ノーベル経済学賞は、経済学の潮流を映し出す。日本で歴史研究と経済学を架橋した研究を進めてきた経済史研究家が解説する。

歴史データをもとに、経済のメカニズムを明らかにする潮流(写真:Jeannie / PIXTA)

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2024年度のノーベル経済学賞は、ダロン・アセモグル(マサチューセッツ工科大学)、サイモン・ジョンソン(同)、およびジェイムス・ロビンソン(シカゴ大学)に授与されることが決まった。

受賞理由は、制度と経済発展の関係を示し、また制度がなぜ持続するか、そして制度がどのように変化するかを説明する理論的ツールを開発したこと、とされている。

3人の研究者は、2001年の論文で、制度が経済発展に対して因果的な関係を持つことを、19世紀初めのヨーロッパ人入植者の死亡率を操作変数とする2段階推定によって示した。

彼らの推定結果では、植民地化当時の欧州人の死亡率が高い地域ほど、現代においても所有権保護の程度が低く、権利保護の程度が1ポイント高いと1人当たりGDPが約2.6倍大きい。この結果は、制度の質が国の豊かさに影響を与えるという因果的な関係を示している。

また、この論文では前提とされていた制度の持続性について、2008、2012年の論文等によって、その政治経済学的なメカニズムを明らかにした。

2年連続で「歴史」受賞の驚き

アセモグル等の研究は、内容の重要性と影響の大きさから、いずれノーベル賞の受賞対象となることは予想の範囲内であった。

一方で前年のクラウディア・ゴールディン(ハーバード大学)の研究に続いて、2年連続で歴史に関連する研究がノーベル賞を受賞したことには若干の驚きを感じた。

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