ノーベル経済学賞候補の呼び声も高いアセモグル教授に本誌が独占インタビュー。
本記事は「東洋経済オンライン」有料会員限定のロングバージョンだ。
歴史、政治、技術など幅広い視座で研究を進める米経済学者ダロン・アセモグル教授。新著『技術革新と不平等の1000年史』を上梓した同教授に話を聞いた。
──新著では、AI(人工知能)やロボットなどのテクノロジーの発展により、雇用の喪失や監視社会化、不平等の拡大が起きかねないと警鐘を鳴らしています。
私の主張は新しいテクノロジーが必ずしも雇用を破壊するというものではない。新しいテクノロジーは、人間を補完する好ましいものにもなりうる。
例えば日本を含む人手不足の国々では、生成AIは労働者や技師に専門知識や能力を与えて補強するといった使い方ができる。いわば労働者の側に立ったテクノロジーだ。
雇用破壊の道筋を歩んでいる
しかし現実的には今、テクノロジーの開発や使用は、雇用破壊の道筋を歩んでいる。生成AIは少数のデジタルプラットフォーマーの手の中にあり、監視のために多くの情報を蓄積したり労働の自動化を進めたりするために使われているからだ。
この本で私は、新しいテクノロジーをどのように開発し使用していくか、またそれをどのようにコントロールしていくかは、技術者と企業のリーダーたちの選択いかんに懸かっているということを訴えたかった。
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