アセモグル教授が語る「AIと雇用」「中国問題」 人間を補完する労働者寄りのAIが必要だ

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ノーベル経済学賞候補の呼び声も高いアセモグル教授に本誌が独占インタビュー。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授 ダロン・アセモグル氏
ダロン・アセモグル(Daron Acemoglu)/米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。1967年生まれ。トルコ出身。1993年からMITに在籍。著書に『国家はなぜ衰退するのか』『自由の命運─国家、社会、そして狭い回廊』など。今年12月『技術革新と不平等の1000年史』を日本で上梓(写真:Cody O’Loughlin )

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鳴動する政治。終息しない戦乱。乱高下する市況。その先にあるのは活況か、暗転か――。『週刊東洋経済』12月23-30日 新春合併特大号の特集は「2024年大予測」。世界と日本の行方を総展望する。

本記事は「東洋経済オンライン」有料会員限定のロングバージョンだ。
【追記:2024年10月14日、アセモグル氏がノーベル経済学賞を受賞しました。2023年末に配信したスペシャルインタビューを期間限定で無料公開します】
週刊東洋経済 2023年12/23・12/30新春合併特大号(2024大予測)[雑誌]
『週刊東洋経済 2023年12/23・12/30新春合併特大号(2024大予測)』。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら

歴史、政治、技術など幅広い視座で研究を進める米経済学者ダロン・アセモグル教授。新著『技術革新と不平等の1000年史』を上梓した同教授に話を聞いた。

 

──新著では、AI(人工知能)やロボットなどのテクノロジーの発展により、雇用の喪失や監視社会化、不平等の拡大が起きかねないと警鐘を鳴らしています。

私の主張は新しいテクノロジーが必ずしも雇用を破壊するというものではない。新しいテクノロジーは、人間を補完する好ましいものにもなりうる。

例えば日本を含む人手不足の国々では、生成AIは労働者や技師に専門知識や能力を与えて補強するといった使い方ができる。いわば労働者の側に立ったテクノロジーだ。

雇用破壊の道筋を歩んでいる

『技術革新と不平等の1000年史(上巻)』(早川書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

しかし現実的には今、テクノロジーの開発や使用は、雇用破壊の道筋を歩んでいる。生成AIは少数のデジタルプラットフォーマーの手の中にあり、監視のために多くの情報を蓄積したり労働の自動化を進めたりするために使われているからだ。

この本で私は、新しいテクノロジーをどのように開発し使用していくか、またそれをどのようにコントロールしていくかは、技術者と企業のリーダーたちの選択いかんに懸かっているということを訴えたかった。

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