トライアル出身の西友新社長が語る【買収後の戦略】/西友不振の根本原因と打開策/2つの「高値」批判への回答は

旧セゾングループの中核だった老舗スーパーの西友が2025年7月、トライアルホールディングス(HD)傘下の新体制で再出発した。
バブル崩壊後に長期低迷していた西友は2000年代にアメリカのウォルマートに買収された。2021年にはアメリカの投資ファンドKKRが65%、楽天グループが20%、ウォルマートが15%を保有する体制へと移行。2年後には楽天が保有株をKKRに譲渡した。
KKRとウォルマートから西友の全株式を3800億円で買い取ったのがトライアルHD。小売り、リテールテックなどを傘下に持ち、中核のトライアルカンパニーは九州を中心に郊外立地の大型ディスカウントスーパーを展開する。省人化や販売促進でのIT活用を進め、25期増収を続ける小売り業界の注目株だ。

買収価格、店頭商品の価格とも「高い」
西友はウォルマートや投資ファンド傘下で徹底的な合理化を実施してきた。2024年には北海道と九州の事業を売却。残った本州事業は売上高約4800億円、営業利益率4.9%(2024年12月期、参考値)と、数値上、スーパーマーケットとしては高水準の収益性を確保している。
ただ、それでも3800億円という買収価格について、KKRから買い取りの打診を受けた小売りチェーンや金融関係者からは「高すぎる」という評価が大半だ。そもそも西友の現在の利益率は投資を削った結果であり、店舗運営の実力を疑問視する声も少なくない。
西友は、セールや特売ではなく、毎日常に低価格で提供するウォルマート仕込みの「EDLP(エブリデー・ロー・プライス)」戦略を掲げているが、「西友さんは(店頭商品の値段が)高いので、脅威ではない」とある競合店幹部は言い切る。
トライアルグループ出身で、7月に西友社長に就任した楢木野仁司社長に買収後の手応えや西友改革の青写真について聞いた。
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