ふるさと納税「収支マイナス」自治体ランキング 9月で終了のふるさと納税ポイント還元『2024年度トップの横浜市は327億円の流出』

地方の特産品が手に入り、税金の控除も受けられる「ふるさと納税」。巨額の税収が流出し、財政が深刻な打撃を受けている自治体もある。
住民が他の自治体へ寄付することで失われる住民税(控除額)が、自身で集めた寄付金額を大きく上回り、結果として「赤字」に陥る。総務省の最新データから、2024年度に収支がマイナスだった自治体を見ていくと、課題が浮き彫りになる。
ワースト10は政令指定都市か東京23区内の自治体
ふるさと納税は、所得が高い人ほど控除の上限額が大きくなる制度だ。大都市には多くの企業が本社を構え、高所得層が集中している。彼らが積極的にふるさと納税を利用すればするほど、居住する自治体から出ていく控除額は膨れ上がっていく。
ワースト1位の横浜市では、市民が他の自治体へ寄付したことによる税金の流出額が343.4億円に達した。市が集めた寄付金額(28.9億円)を差し引いても、到底埋め合わせることはできない。ワースト4位の名古屋市は137億円もの寄付を集めているが、それでも198億円の流出には追い付かず、結果として125億円の赤字となっている。
現状、地方交付税の交付自治体の場合、国が流出額の約75%を補填する措置を講じているが、残りの25%は減収となる。東京23区など地方交付税を受けていない自治体にいたっては、その補填も得ることはできない。
ふるさと納税が地方に新しい税収をもたらすきっかけとなっているのは間違いない。利用者にとっても返礼品やポイント還元は大きな魅力だが、自らが住む街の行政サービスが貴重な税金によって支えられているという事実を、認識しつつ寄付先を決める必要もある。
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