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「100年ごしのETF売却」決めた日銀、異次元緩和の出口は遠い…最大株主の退場でも株式市場への影響は限定的、銘柄ごとの保有割合は最大25.1%

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「利上げせず」は市場予想通りだったが、久しぶりのサプライズ(写真:記者撮影)

日本銀行は、9月の金融政策決定会合で保有するETF(上場投資信託)を少しずつ市場に売却することを決めた。

年間売却ペースは市場全体の売買代金の0.05%程度とする。現時点で簿価に換算すると3300億円程度で、日銀が保有する37.2兆円分を売り切るには112.7年かかる計算だ。第1次世界大戦が勃発する手前から現在までの期間にあたる。1882年(明治15年)に設立された日銀143年の歴史に比しても長い。

「淡々と売っていく。100年後われわれはいないわけですけれど」。植田和男日銀総裁は記者会見で自嘲気味にこう述べた。難題にひとまず道筋をつけた形だが、出口はあまりにも遠い。

サプライズで株下落も、影響は限定的か

2024年3月、日銀は2013年来の異次元金融緩和に幕引きしたが、買い入れた膨大な国債とETFの後始末が残された。国債については2024年7月以降、買い入れ額を減額。償還に伴い保有残高は2027年3月には16〜17%減る見通しだ。

一方、償還のないETFは時価85.7兆円に膨れ上がった(ニッセイ基礎研究所・井出真吾主席研究員の推定)。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国内株式保有額を超え、日銀は東京証券取引所の時価総額の7〜8%を占める最大株主だ。

日銀が売却に100年超かけるのは、市場への影響を抑えるためだ。売買代金の0.05%(年間6200億円)という売却ペースはこれまで保有株式を売却してきた事例に倣った。日銀はまだ不良債権問題がくすぶっていた2002年から2010年にかけ、金融システムを安定させるために銀行から保有株を買い取った。2016年から9年かけて株式を売却し、今年7月に売り切った。

井出氏は「この売却ペースでは市場への悪影響は極めて限定的だろう」とみる。売却決定は事前に予想されていなかったため、9月19日昼の発表直後こそ日経平均株価は急落し、一時前日比800円以上値下がりした。ただ、週明けの22日には終値で最高値を更新している。

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